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金属アレルギーの主な2つの検査について

金属アレルギーの主な2つの検査について

2021/07/26 ブログ

こんにちは。愛媛県松山市のもりもと歯科クリニック院長の森本です。
当院の「金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト」をご覧いただきありがとうございます。
本日は金属アレルギーを診断する主な2つの検査についてお話ししていきます。

金属アレルギーを診断する主な2つの検査

手足や全身にアレルギー症状があり、皮膚科等で治療を行っても原因がわからず、なかなか治らない場合、金属のアレルギーもひとつの可能性として挙げられます。
また、歯科治療を行う前に、歯科治療で使われる金属に対してアレルギーを発症する可能性があるのではないかと心配される方もいらっしゃるでしょう。このように金属アレルギーを疑った場合に行う検査には、大きく二つの検査があります。
パッチテストとリンパ球幼若化試験です。
この二つの金属アレルギー検査はどのような検査なのか、どこで検査を受けることが可能なのか、また、どのくらい費用がかかるのかなどをご紹介いたします。

パッチテスト ~最も一般的に行われる金属アレルギー検査~

金属アレルギー検査の種類とその違いについてのブログ|パッチテストによる金属アレルギー検査|金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト|もりもと歯科クリニック

パッチテストとは、原因と考えられる物質を正常な皮膚に一定時間貼り付け、その後の皮膚を観察してしてアレルギー反応の有無を確認する検査です。
金属アレルギーについて調べたい場合は、金属元素ごとのアレルギーの有無を調べます。
貼付の時間は通常48時間で、部位は背中の上側や上腕の外側が推奨されています。
48時間はシャワー、入浴、スポーツ、発汗の多い労働は控えることが必要です。

パッチテストの判定は複数回実施することが推奨されています。
貼布した48時間後にパッチテストユニットを除去し、テープ除去に伴う刺激反応が消退する約1時間30分~2時間後に1回目の判定を実施し、その後72時間後、又は96時間後、そして1週間後に判定を行います。
パッチテストにより、貼付した部分の皮膚が色が黒くなったり白くなったり、傷あとが盛り上がることがあります。

判定の際に重要な点は,アレルギー反応と刺激反応を区別することです。一般にアレルギー反応では湿疹型の皮膚変化を生じ,強い刺激反応では化学熱傷に類似した皮膚変化を生じますが、弱いアレルギー反応と刺激反応の判別は困難なことが多いので、慎重に判定する必要があります。
また、貼布する物質の濃度が高すぎた場合には、その物質に対して新たな過敏反応が誘引される可能性があり、一方、濃度が 低すぎた場合は反応を誘発できないため、濃度や基剤の決定がパッチテストにおいて大 切なポイントとなります。
日本歯科医師会のホームページでも詳しくパッチテストによる金属アレルギー検査について記載されていますので、ご参照ください。

日本歯科医師会 テーマパーク8020|金属アレルギー

パッチテストによる金属アレルギー検査は、皮膚科で行うことができます。しかし、検査ができない医院もあるため事前に確認することをお勧めします。
また、検査費用は保険適応で千円~数千円程度のことが多いです。

リンパ球刺激試験(DLST)~血液で調べる金属アレルギーの検査~

金属アレルギー検査の種類とその違いについてのブログ|血液検査による金属アレルギー検査のイメージ|金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト|もりもと歯科クリニック

金属アレルギーを調べる検査には、血液中の白血球(とくにTリンパ球)を利用する方法もあります。
採血した血液から白血球を培養し、そこにアレルギーが疑われる金属イオンを加え、その反応からアレルギーの有無を調べる検査です。
この検査をリンパ球刺激試験(Dental lymphocyte stimulation test・以下、DLST)といいます。
一回の採血で結果が出るため、検査のための来院回数を減らせ、パッチテストのような生活上の制限もありません。
パッチテストではアレルギーが疑われる金属を皮膚に貼付するため、貼付部位が腫れたり傷になったりする恐れがありますが、DLSTではそのリスクはありません。
同様に、新たなアレルギー反応を引き起こす可能性も低く、安全な検査と言えます。
判定結果についても、数値で出るため、パッチテストと比べて判定が明確です。

しかしデメリットとして
現状では、偽陽性が多いという報告がある点や、全ての金属を対象とできない点が挙げられます。
また、検査できる医院が限られていること、検査費用が高いことが問題となっています。

DLSTによる金属アレルギーテストは皮膚科で行うことができますが、実施している医院は少ないのが現状です。
事前にホームページや電話などで確認をしてください。
また検査は自費診療で1種類1万円ぐらいが相場となっている事が多いです。

金属アレルギーが疑われる方は、検査をお勧めします

金属アレルギーでは金属が直接触れている部分だけでなく、全身に症状が現れる場合があります。
特に歯科金属による金属アレルギーでは、金属そのものではなく、口腔内の歯科金属から溶け出した金属イオンが体内に吸収され、血液の循環によって全身に回ることで、様々な部位に症状が出ることがあります。
口内炎や歯肉炎、舌炎などに加え、口の周りや背中、手や足など、全身の皮膚の湿疹などの炎症が主な症状です。
また、汗疱性湿疹、アトピー性皮膚炎などの皮膚症状や関節リウマチ、自己免疫性の疾患が増悪化する因子になることもあります。

こうした症状に対して、2020年の保険改正では、金属アレルギーと診断された場合、歯科金属を使わない治療の保険適用範囲が拡大されました。

もし気になるアレルギー症状がある場合や、歯科治療の前に金属アレルギーの有無が気になる場合は、一度金属アレルギーの検査を受けられる事をお勧めします。

またもりもと歯科クリニックでは、丁寧にお話をうかがい、お一人おひとりに合わせたメタルフリー治療について詳しくご説明いたします。
お口の中の金属に不安がある方は、まずはお気軽に当院にご相談ください。

下記のページもご参照ください

金属アレルギー|金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト|松山 もりもと歯科クリニック

歯科に使われている金属と各金属のアレルギーの陽性率|ブログ|金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト|松山 もりもと歯科クリニック

参考文献
日本皮膚科学会ガイドライン 接触皮膚炎診療ガイドライン 2020

日本歯科医師会 ホームページ