金属アレルギーは完治するのか?
2021/11/17 ブログ
こんにちは。愛媛県松山市のもりもと歯科クリニック院長の森本です。
当院の「金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト」をご覧いただきありがとうございます。
よく聞かれる「金属アレルギーは治りますか」という質問についてお話ししていきます。
金属アレルギーは完治するのか?
もりもと歯科クリニックは、口腔内の歯科金属が原因で起こりうる様々な全身症状に対して、原因である金属を取り除き、体にやさしいメタルフリーの治療で症状改善を目指すことに力を入れています。
そのため、金属アレルギーの患者さんと接する機会が多いのですが、診療の際に「金属アレルギーは治りますか」と聞かれることがよくあります。
まず結論からお伝えすると、残念ながら金属アレルギーは、「完治」することはありません。
しかし、「寛解」することは可能です。
完治と寛解の違いとは
では、「完治」と「寛解」は何が違うのでしょうか?
「完治」とは、病気が完全に治った状態のことです。治癒とも表現します。
一方「寛解」は、病気の症状が軽快したり、消滅したりした状態のことを指します。
「寛解」は癌など病変の再発の可能性を否定できない疾患に用いられることが多く、症状の一部が軽快あるいは消滅した状態が「部分寛解」で、治療によってその疾患に特有な症状のすべてにわたって軽快あるいは消滅が確認され、検査所見にも異常が認められず、正常な機能に復帰した状態を「完全寛解」と言います。
冒頭で金属アレルギーは「完治」することはないとお伝えしましたが、それは金属アレルギーだけでなくアレルギー全般に言えることです。アレルギーは症状が軽快したり消滅したりしても、現代医学では再発する可能性が否定できないのです。その理由はアレルギーの免疫システムにあります。
金属アレルギーは体の防衛システム
アレルギーとは、体内に入った異物を排除しようとする免疫システムが、細菌やウイルスだけでなく日常的に身の周りにあるものに対して働くことによっておこります。
免疫システムは一度何かを異物として記憶すると、自動的に排除システムが働くようになります。例えば花粉が体内に入った場合、鼻水やくしゃみといった反応を起こして、それ以上の侵入を防ごうとします。
現代の医学では一旦記憶された免疫システムを、細菌やウイルスに対してはきちんと働き、花粉やダニに対しては無視するようにすることは不可能です。
金属アレルギーも同様で、免疫システムが金属を異物として記憶している状態のため、金属に対してのアレルギー反応は完治することはありません。
歯科金属による金属アレルギーでは、金属そのものではなく、口腔内の歯科金属から溶け出した金属イオンが体内に吸収され、血液の循環によって全身に回ることで、様々な部位に症状が出ることがあります。口内炎や歯肉炎、舌炎などに加え、口の周りや背中、手や足など、全身の皮膚の湿疹などの炎症が主な症状です。また、汗疱性湿疹、アトピー性皮膚炎などの皮膚症状や関節リウマチ、自己免疫性の疾患が増悪化する因子になることもあります。
金属アレルギーの症状を寛解させるためには、金属イオンが体内に入らない環境を作ることが重要になってきます。
金属アレルギーを寛解の状態でキープするには
金属アレルギーといっても、どの金属に反応しているかは個々で異なります。
日本接触皮膚炎研究班が行なっているジャパニーズ スタンダードアレルゲン(JSA)全国疫学調査の2016 年度では、硫酸ニッケル,金チオ硫酸ナトリウム,ウルシオール,パラフェ ニレンジアミン,塩化コバルトの順でアレルギー反応の陽性率が高い結果になりました。*1
歯科金属はパラジウム,金,水銀, 錫などを含有することが多く、陽性率の高いニッケル,コバルト、クロムなども含んでいます。
何らかの症状があり、口腔内に金属の詰め物や被せ物があったり、矯正器具、インプラントなどの金属が口腔内に確認される場合などは、金属アレルギーが疑われ、皮膚科で金属アレルギー検査を受けることができます。
検査の結果、口腔内の金属に対してアレルギー反応があった場合は、歯科治療でアレルギー反応が起こりにくくなる可能性があり、寛解の状態をキープすることが可能になるかもしれません。
また、アクセサリーなどを付けた時に皮膚に痒みがあるなど金属アレルギーの疑いがある方や、アレルギーを起こしやすい体質の方は、歯科治療を始める際になるべく歯科金属を使わない治療を選択した方がいいでしょう。
金属アレルギーの症状は歯科治療で改善する可能性があります
もりもと歯科クリニックでは、歯科金属に替わってセラミックなどのメタルフリーの素材をおすすめしています。
また、メタルフリー素材を用いていても接着剤にアレルギー反応を示す方もおられるため、患者様のお口の状態や体質などの条件に合わせて適切な接着剤を選定しています。
金属アレルギーの症状は、歯科治療によって改善する可能性があります。
金属アレルギーかもしれない、原因のわからない体の不調がある、といったお悩みの方は、もりもと歯科クリニックにお気軽にご相談ください。
*1 (参考) 一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会:ジャパニーズスタンダードアレルゲン2015
金属アレルギーの検査の種類についてはこちらをご覧ください
金属アレルギーの主な2つの検査について|金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト|松山 もりもと歯科クリニック
下記のページもご参照ください
金属アレルギー|金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト|松山 もりもと歯科クリニック