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歯科健診を受けないと80歳で歯が0本の可能性も?若年層から受診を推奨

歯科健診を受けないと80歳で歯が0本の可能性も?若年層から受診を推奨

2024/11/18 ブログ

こんにちは。愛媛県松山市のもりもと歯科クリニック院長の森本です。当院の「金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト」をご覧いただきありがとうございます。

今回は、「歯科健診」と健康な歯の関係や、歯科健診の重要性について解説します。

歯科健診とは?

皆さんは、歯科健診を受けていますか?自治体や、各健康保険組合が実施している健康診断の一種です。普段からあまり歯科医院に通っていない方を主な対象として、歯やお口の状態を確認して必要があれば治療を行い、健康寿命を延ばそうという試みです。
(日頃から歯科医院に通って定期メインテナンスを受けている場合は、それで十分な方が多いと思います)

もりもと歯科クリニックがある愛媛県松山市では現在、「節目歯周病検診」という名称で40歳、50歳、60歳、70歳を対象に、歯科健診を実施しています。2024年から新しく20歳と30歳も加わりました。

対象年齢が広がったということは、若い頃から歯の健康を意識して守っていく必要があるということです。なぜ、歯の健康がそれほどまで大事なのでしょう。

松山 もりもと歯科|ブログ|歯科健診を受けないと80歳で歯が0本の可能性も?若年層から受診を推奨|歯科検診を受ける女性のイメージ画像

歯を失う原因は「歯周病」と「虫歯」

そもそも、歯を失う主な原因は歯周病とむし歯です。

歯周病は、歯と歯茎の間に付着した汚れが「プラーク(歯垢)」となり、細菌が歯茎や歯を支える骨に炎症を起こす感染症です。自覚症状がないまま進行する場合も多く、放っておくと、歯茎の赤みや腫れ、出血、口臭、歯がグラグラするなどの症状が現れ、最終的には歯が抜けます。

加えて、全身のさまざまな病気との関連が研究され、特に糖尿病と相互に影響していることが分かっています。

歯周病は若年層でも増えていることから、若い世代の歯科健診の機会をつくり、歯周病の早期発見や治療を促して、生涯にわたって歯と口腔の健康を保つことが重要なのです。

虫歯は、口の中にあるミュータンス菌という細菌が、歯と歯茎の間にできたプラーク(歯垢)をエサにして酸を作り出し、歯を溶かしていく病気です。こちらも初期段階では自覚症状がありませんが、進行すると冷たいものなどがしみるようになり、徐々に痛みが現れて最終的には抜歯しなければいけなくなります。

虫歯もまた、全身疾患に影響を及ぼす可能性があります。

歯科健診を受けないと、残存歯数がゼロになる可能性も

歯科健診を定期的に受けている人と受けていない人では、年齢を重ねるにつれ、残っている歯の本数が大幅に変わります。

NPO法人日本臨床歯周病学会のデータによると、20歳の頃は差がなくても、40代になると徐々に開き始めます。50代では、歯科健診を受けている人の平均残存歯数は約30本なのに対し、受けていない(何か問題があるときだけ受診する)人は約20本と、10本も開きがあります。

その差はどんどん大きくなり、80歳では、歯科健診を受けている人は約25本ですが、受けていない人は0本という結果になっています。

厚生労働省|令和4年歯科疾患実態調査|NPO法人日本臨床歯周病学会_歯周治療の効果はメインテナンスによって決まる。
NPO法人日本臨床歯周病学会|歯周治療の効果はメインテナンスによって決まる。

日本の歯科健診の受診状況を、もう少し詳しく見てみましょう。

厚生労働省の「令和4年歯科疾患実態調査」によると、1年間に歯科検診を受けたことがある人は、全体で58%でした。特に20代前半と、30歳〜50歳未満の男性は受診率が低い傾向があります。

松山 もりもと歯科|ブログ|歯科健診を受けないと80歳で歯が0本の可能性も?若年層から受診を推奨|厚生労働省_令和4年歯科疾患実態調査|歯科検診を受診している者の割合、性・年齢階級別
厚生労働省|令和4年歯科疾患実態調査|歯科検診を受診している者の割合、性・年齢階級別

また、こちらもNPO法人日本臨床歯周病学会のデータによると、現在の日本人の、80歳の残存歯数は平均12本ですが、スウェーデンでは20本、アメリカでは17本という結果が出ています。この差も、歯科健診の受診率の違いです。予防歯科が普及しているスウェーデンでは、歯科健診の定期的な受診率は80%以上にのぼり、他の欧米諸国でも約70%です。しかし日本はわずか10%未満と、大きな開きがあります。

歯周病と虫歯は、全身疾患のリスクも悪化させる

歯科健診を定期的に受けないと、歯を失うリスクが非常に高まります。先ほど、歯を失う主な原因は「歯周病」と「虫歯」だとお伝えしましたが、どちらも進行すると全身のさまざまな病気に影響を与えることが、近年の研究で分かっています。つまり、歯だけの問題ではないのです。

歯周病が進行して歯周病菌が歯茎の血管から体内に入り込むと、炎症性物質の働きにより、血糖値を下げるインスリンの働きが悪化して糖尿病のリスクが高まります。そのほか、心疾患、脳疾患、早産や低体重児出産などにも影響します。

また、誤嚥により歯周病菌が肺に入ると誤嚥性肺炎やアルツハイマー型認知症を引き起こすほか、関節リウマチなどの原因にもなります。

虫歯も、虫歯菌が血管内に入ると体内のさまざまな箇所で炎症を起こします。特に、心臓の弁に細菌が感染すると、感染性心内膜炎となり大きな影響を及ぼします。

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歯科医院で定期検診&クリーニングを受けましょう

歯科健診がいかに重要か、お分かりいただけましたか?

自治体などの歯科健診を受けていただくのはもちろん、歯科医院での歯科検診も細部までチェックできるのでおすすめです。必要に応じてレントゲン撮影をしたり、検診と一緒に、歯磨きだけでは落としきれない歯の汚れをクリーニングしたりできます。

もりもと歯科クリニックは、予防歯科に力を入れております。お口の状態が気になる方も、特に症状がない方も、そして歯科検診に馴染みがない方も安心してお気軽にご相談ください。

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